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公開日:2024/02/29

最終更新日:2024/03/01

生成AIの活用事例22選。企業や自治体、業務利用別に解説

生成AIの活用事例22選。企業や自治体、業務利用別に解説

生成AIは、定型的な業務をはじめ機密保持が求められる業務でも活用が進んできています。活用事例を知ることで、自社の業務への活用余地がないかを検討してみましょう。

本記事では企業や自治体別活用事例をはじめ、生成AIで効率化できる業務を紹介します。

生成AIとは?

生成AIとは、ディープラーニングや機械学習モデルを活用してデータやパターンを学習し、新しいテキスト、画像、音楽などを自動で生成するAIのことです。
ビジネスや日常業務での活用により、アイデアの生成、業務の効率化、デジタルリテラシーの向上が可能です。

生成AIとは?

生成AIの企業別業務活用事例

多くの企業で生成AIの業務への活用が進んでいます。ここでは、生成AIを業務に活用している7社の事例を紹介します。

生成AIを活用したソフトウェア開発(LINEヤフー)

LINEヤフーは、ソフトウェア開発業務において、約7,000名のエンジニアに対し、GitHub社のAIペアプログラマー「GitHub Copilot for Business」の導入を開始しました。AIがコード記述の提案を行うだけでなく、エラーや最適化のポイントをAIの視点で捉えることでエンジニアが効率的に業務を行えることが可能になります。

これにより、エンジニア1人あたりのコーディング時間が日平均1~2時間削減され、一部指標では10~30%の生産性向上が図れました。

なお、導入にあたり、セキュリティと法的な問題への対策として、著作権侵害防止の講習や生成されたコードの信頼性を確保するために複数レビューの徹底などのルールを設定しました。

参考:LINEヤフーの全エンジニア約7,000名を対象にAIペアプログラマー「GitHub Copilot for Business」の導入を開始

情報検索システム(アサヒビール)

アサヒビールでは、日本マイクロソフトと丹青社社と連携し、生成AIを活用した社内情報検索システムを導入しました。

社内で保有する膨大な資料やデータを一括で検索し、要約された情報を提供する機能を備えています。生成AIを用いた社内情報検索システムでは、PDFやPowerPoint、Wordなど様々な形式の資料に対して複合的な検索が可能で、検索結果はサムネイルや資料の概要に加え、生成AIによる要約も表示されます。

この技術はR&D部門を中心に利用されていますが、将来的にはグループ会社内に点在する技術情報を集約・整理に活用して商品開発の強化や業務効率化を目指しています。

参考:生成AIを用いた社内情報検索システムを導入。研究所を中心に9月上旬から試験運用を開始。商品開発力強化やグループ間のイノベーション創出を目指す

ChatGPT導入(大和証券)

大和証券では、対話型AIの「ChatGPT」を全社員約9,000人が活用しています。

ChatGPTを用いることで、多言語による情報収集や資料作成、プログラミングの素案作成などの業務を効率化しています。また、技術基盤としてMicrosoftの「Azure OpenAI Service」を利用し、外部に情報が漏れるリスクを最小限に抑えてセキュリティの確保を行っています。

生成AIを業務に活用することで、社員はより戦略的かつ顧客対応に集中できるようになります。また、AIの技術を積極的に活用することで新たなサービス開発や業務改善のアイデアの創出も期待されています。

参考:大和証券 「ChatGPT」を全社員9000人で利用開始

自動ニュース配信(ライブドアニュース24)

ライブドアニュース24は、AI技術を活用して情報の収集から配信までを自動化する24時間自動ニュース配信サービスを展開しています。

まず、許諾を得たライブドアニュースの記事をもとに、Chat GPTが原稿を作成します。そしてAIが音声を読み上げて、キャラクターがニュース配信を行う動画として配信する仕組みです。

人手を介さずに24時間体制で最新ニュースを提供できるため、リソースの削減と迅速な情報提供ができるほか、デジタルネイティブなユーザー層へのアプローチが強化されています。ジャンルや複数言語などサービスの提供範囲を拡大することで、ニュース配信の進化が期待されています。

参考:「ライブドアニュース24」β版、公開スタート!

セキュリティを担保した社内向けAIチャット(ソフトバンク)

ソフトバンクは、業務効率化として約2万人の従業員が生成AIを文章作成や翻訳などに活用しています。社内向けAIチャットサービスは、営業やマーケティング、プログラミングサポート、コールセンター業務など、複数の業務領域で活用が見込まれているのです。

なお、安全かつ積極的にAIを活用するために、セキュアな環境でAIを活用しています。さらにAIを用いたサービスの適正な開発や提供、管理、運用の方針を「ソフトバンクAI倫理ポリシー」にまとめ、AI倫理やガバナンスに特化した「AIガバナンス基本規程」を新たに制定しています。

参考:ソフトバンク版AIチャットの利用を開始

電話対応効率化(JR西日本カスタマーリレーションズ)

JR西日本カスタマーリレーションズ(JWCR)は、ELYZA社と共同で通話内容要約業務に言語生成AIを導入しました。オペレーターが電話応対後に音声認識により書き起こされたテキストを入力すると、自動で要約結果が出力される仕組みです。

JWCRの案内コンタクトセンターは月間約7万件の電話問い合わせを受け付けており、すべての応対記録をテキスト化して保存しています。そのため要約には膨大な時間を要していました。

実証実験では、AIの導入により後処理時間が18%から54%削減される結果が確認されています。言語生成AIの導入により、膨大だった要約業務の効率化と品質の均質化が期待されているのです。

参考:JR西日本カスタマーリレーションズとLLM DXパートナー ELYZA、通話内容要約業務に言語生成AIを導入

全社員のデジタルリテラシーの向上(アスクル)

アスクルでは、Microsoftの「Azure OpenAI Service」をもとに構築された自社専用対話型生成AIツールを実業務で利用しています。セキュリティが担保された環境のもとチャットボットとの対話を通じて、アイデア発案、文章の要約、多言語翻訳、報告書や議事録作成、FAQ作成などの業務を効率化できます。

なお、生成AIを業務に活用するにあたり、全社員向けのオンライン教育体制を整えています。社内勉強会でツールの基本的な使い方やセキュリティ上の注意点を学び、全社員のデジタルリテラシーの向上を図りながらAIの利用能力を高めています。

参考:全社員を対象に自社専用対話型生成AIツールを運用開始

生成AIの自治体別活用事例

生成AIの活用が進んでいる自治体も増えてきています。ここでは、生成AIを業務に活用している自治体の事例を3つ紹介します。

生成AIの自治体別活用事例

例規や庁内Q&Aの探索の効率化(神奈川県相模原市)

神奈川県相模原市は、NECとの協力のもと、市役所内の一部の部門で生成AIの活用検証を始めています。NECが開発した大規模言語モデル(LLM)を相模原市特有の業務に合わせて調整を行うことで、例規や庁内Q&Aの探索の効率化を図り自治体業務に特化したLLMの構築を目指しています。

生成AIは汎用的なLLMではなく専門的な業務に適応させることで、正確性や信頼性の問題を解決することが期待されています。相模原市とNECは、自治体業務におけるセキュリティポリシーを考慮しつつ、職員の利便性と機密情報の安全性を保つための最適なアーキテクチャを検討しているのです。

参考:NEC、相模原市と生成AI活用に向けた共同検証を開始

通知文などの作成(群馬県高崎市)

群馬県高崎市は、市役所業務の効率化と質の向上を図る目的で、対話型AIの「ChatGPT」などの生成AIを業務に本格導入すると発表し、市役所内で生成AIを活用しています。

生成AIは、あいさつ文の作成、英語など他言語への翻訳、アイデア提案などに活用される見込みで、試験運用の実績をまとめた活用事例集を職員に周知しています。

加えて、AI利用の精度を高める指示方法や禁止事項、著作権の確認などを盛り込んだガイドラインを制定しました。機密情報の流出防止と正確な内容の生成を目指しており、市役所業務の効率化と質の向上を図ることを目的としています。

参考:群馬・高崎市、生成AIの業務利用を11月に本格開始へ

文書要約やアイデア生成(山形県酒田市)

山形県酒田市は、生成AIの「ChatGPT」「Bard」などを全職員が業務に活用すると発表しています。文書作成や会議記録の要約、事業提案、情報検索、コード生成、翻訳などの業務効率化と市民サービスの向上が期待されています。

生成AIを業務へ活用するにあたり「酒田市対話型AI活用ガイドライン」を策定し、個人情報や業務上の機密事項の取り扱い、著作権の確認などにも注意を払っています。

対象サービス、利用端末、業務範囲、生成AIの利用手続き、留意点をはじめ、万一問題が発生したと思われる場合の報告フローも明示されているのが特徴です。

参考:ChatGPT 等対話型 AI を業務に活用します

生成AIで効率化できる業務

生成AIは幅広い業務の効率化が期待できます。
以下で生成AIの活用で効率化する余地のある業務を12種類紹介します。

  • コミュニケーション
  • 人事
  • 情報収集
  • クリエイティブ
生成AIで効率化できる業務

コミュニケーション

生成AIは、テキストや自動音声の作成が可能です。そのため、下記のような業務においてコミュニケーションの質向上に役立っています。

打ち合わせ

生成AIと録画機能を組み合わせるとミーティングの録画から打ち合わせの議事録を自動生成するシステムが構築できます。

電話対応

音声AIは、ユーザーからの簡単な質問や注文などに対応できます。
翻訳機能などの機能をつけることで、より様々なツールや業務に対応させることが可能です。

チャット・メール対応

AIチャットとEメール自動生成機能を搭載したシステムを用いると、経験の浅い社員による日々の業務対応や見込み客の醸成などに役立ちます。

人事

生成AIの導入により、人事部門のスキル要件が変化する可能性があります。人事部門の業務プロセス効率化には以下などが考えられます。

社員教育

生成をAI用いたチャットシステムを社員教育に活用すると、社員が日常業務に対する質問などを気軽に調べることができます。新入社員やリモートワークでも業務の理解が効率化します。

人事評価

人事評価で重要な基準やポイントを生成AIに入力すると、生成AIがそれに沿った評価項目を生成するため、一貫性のある評価が行えます。

情報収集

生成AIは、データ収集・整理、市場調査・競合調査など、幅広いデータソースから情報を取得して専門的な分析を行うことが得意です。

データ収集・整理

生成AIは、データの収集から整理、分析、共有、改善、フィードバックまでのプロセスを一括で管理できるため、顧客の真のニーズ抽出やビジネス戦略化に活かせます。

市場調査・競合調査

生成AIを活用した市場調査・競合分析システムは、市場の最新動向から競合の戦略など幅広い情報を網羅しているため、市場の深い理解と戦略的な意思決定を支援します。

開発

生成AIは、ソースコード生成と古いコードのモダナイゼーションに活かせます。
また設計情報をもとに異なるプログラム言語への変換やテスト項目の抽出も可能です。

コード生成

生成AIは、プログラミングのスキルを持たない人でもアプリケーションやソフトウェアを開発できるノーコード開発で重要な役割を果たします。

テスト項目抽出

従来の自動化に加えて、設計書や試験項目表、試験記録などのプロジェクト固有の情報を活用し、テスト項目を自動で抽出することが可能です。

クリエイティブ

生成AIは、デザイン作業やコンテンツ制作の効率を向上させてクリエイティブなプロジェクトをサポートするのに活かせます。

キャッチコピー作成

生成AIは、ブランドや製品の特性、ターゲット市場のニーズなどに基づき、独創的で魅力的なキャッチコピー案を短時間で複数出力できます。

ロゴ作成

生成AIの高度な視覚的分析と創造力により、ユニークなロゴが短時間で創出できるため、デザイナーの意思決定をサポートしつつブランドのビジュアルアイデンティティ強化に役立ちます。

広告デザイン作成

特定のブランドや製品のコンセプトやターゲットオーディエンスの好みや行動傾向に基づいて、視覚的に魅力的でメッセージ性の強い広告素材を生成します。

まとめ

 

生成AIは、生産性の向上や開発力の強化、業務のプロセスや質の向上などを目的として活用が進んでいます。業務の活用にあたっては、セキュリティガイドラインを設けて社員教育を行うことが多くみられます。

生成AIの導入領域や運用構築に課題がある場合には、エッジワークへお気軽にお問い合わせください。生成AI導入のプロに依頼することで、効率的に生成AIを用いた業務効率化が図れます。

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