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公開日:2024/05/14

ERP導入の目的やメリット・デメリットは?導入事例について紹介

ERP導入の目的やメリット・デメリットは?導入事例について紹介

ERPの導入は、企業にとって大きな転換期ですが、成功させるためには綿密な計画と準備が必要です。しかし、コストや知識などの理由など導入のハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ERPの目的やメリット・デメリット、具体的な導入事例などについて詳しく解説します。ERPは企業が直面する課題を解決するための手段として有効なので、ぜひご検討ください。

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ERPとは

ERPとは

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の経営資源を一元的に管理して、最適化するための情報システムです。企業のさまざまな業務プロセスを統合して、効率的な運用に役立ちます。

ERPの主な特徴は、以下の通りです。

  • 統合管理
    ERPは販売、製造、会計、人事など企業の全ての部門を一つのシステムで統合します。そのため、情報の一貫性と透明性を保つことができ、迅速かつ正確な経営判断が可能になります。
  • リアルタイム情報
    ERPはリアルタイムで情報を提供します。そのため、企業は最新のデータに基づいて意思決定を行えるようになります。
  • 効率化
    ERPは業務プロセスを自動化しますので、手作業を減らして業務を効率化させます。また、データ入力のミスを減らすことも可能です。
  • コスト削減
    ERPは業務の効率化によって、コスト削減を実現します。また、一元管理によって在庫や人件費などのコストを最適化することも可能です。
  • スケーラビリティ
    スケーラビリティとは、機能や処理量、利用するユーザーが増加しても対応できる能力を指します。ERPは企業の成長に合わせてスケールアップすることが可能なので、スケーラビリティに優れているといえます。そのため、新しい機能を追加したりユーザー数を増やしたりできます。

ERP導入の目的

ERP導入の目的

企業がERPを導入する主な目的は、以下の通りです。

  • 業務効率化とデータの一元管理
    ERPは手作業による人的ミスや属人的な業務を排除して、業務効率化を図ることができます。また、さまざまな基幹システムにとってデータを一元管理することができ、二重入力などの手間がなくなるだけでなく、更新したデータがすぐに反映されるため、常に最新の正しいデータを確認できます。
  • データドリブン経営と意思決定の高速化
    ERPの導入は、データを活用して業務に関する意思決定を行う「データドリブン経営」の実現につながります。ERPを導入すれば、経営者がリアルタイムに企業の現状を把握できるため、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります。
  • コンプライアンス遵守とセキュリティ強化
    ERPではデータベースが統一されるため、データの改ざんや破棄などの不正行為がしにくくなります。また、万が一改ざんや破棄が行われても操作ログが残っているため、内部統制の強化にも役立ちます。
  • ITコストの削減
    複数の基幹システムや業務システムを導入して使い分けている場合、システムの数だけライセンス費用や運用管理の費用がかかってしまいます。また、運用・保守には専門的な知識を有している人材も必要です。そのような場合には、システムをERPに統一することでITコストを最適化し、運用管理の負担も軽減できます。

ERP導入のメリット

ERP導入のメリット

ERPを導入すれば、経営資源の最適化を図って企業の基幹業務を統合管理でき、情報の一元化や業務の効率化、メンテナンスの一元化などさまざまなメリットを受けられます。そこで、ERP導入によるメリットについて詳しく解説します。

情報の一元化

情報の一元化とは、分散している情報を一ヶ所に集めて一貫した管理と効果的な活用を実現することです。情報がバラバラに管理されていた場合には、必要な情報をすぐに確認できるようになったり更新をスピーディーに行えたりできるようになったりしますので、利便性が大幅に向上します。

業務の効率化

ERPを導入すれば、手作業による人的ミスや属人的になってしまっている業務を排除できるので、業務効率化につながります。

また、ERPのデータ連携機能を活用することで、業務プロセスを自動化できます。そのため、社員の作業時間を削減してコア業務に充てる時間を増やせるでしょう。

メンテナンスの一元化

システムの保守・運用も一元化されるので、管理しやすくなるメリットがあります。そのため、システムのアップデートやトラブル対応が迅速に行えるのです。

また、法律改正や制度変更への対応も一元化されるため、迅速かつ適切に対応することが可能になります。企業のIT戦略には柔軟性と効率性が求められますので、非常に有効です。

意思決定の迅速化

ERPはあらゆる情報を可視化しますので、経営者はリアルタイムに自社の現状を把握して迅速意思決定を行えるようになります。データに基づいた適切な意思決定は、企業の競争力を高めますのでビジネスの成功に役立ちます。

ただし、このような効果を最大限に引き出すためには、ERPシステムの適切な運用とデータの正確な管理が必要です。

セキュリティの強化

データベースが統一されるため、データの改ざんや破棄などの不正行為がしにくくなります。

また、万が一改ざんや破棄が行われても操作ログが残っているため、内部統制の強化にもつながります。

パッケージによる開発コスト削減と開発期間短縮

パッケージ開発では既存のソフトウェアやアプリケーションを使用するため、ソフトウェア開発やテストにかかる期間を大幅に短縮でき、コストも削減できます。

ただし、導入の際には自社に合った適切なパッケージの選定と運用計画の策定が重要です。

ERP導入のデメリット

ERP導入のデメリット

ERP導入には、初期導入や継続的な保守・運用にかなりのコストが発生します。

また、従業員によるデータ管理が必要となり、自社に合う製品を選ぶ必要もありますので、ERP導入のデメリットについて詳しく解説します。

導入・保守費用にコストが発生する

ERPの導入には、サーバーの構築費用や初期ソフトウェアの購入費用、データ移行費用などさまざまな初期費用が発生します。

また、システムの保守・運用にもコストがかかります。一般的に年間にかかるシステム保守費用(ソフトウェアおよびハードウェアの保守)の相場は、システムの導入(システム構築および開発作業)に要したコストの約15%です。

従業員によるデータ管理が必要

ERPを導入した後には、従業員によるデータ管理が必要となります。

なぜなら、企業の経営資源である「ヒト」に関する情報を管理し、人材育成、人材配置、人事評価、労務管理、退職金計算など人材活用に関するさまざまな施策に役立てるためです。

自社に合う製品を選ぶ必要がある

ERPのシステムを選ぶときには、自社の業務やニーズに合致した製品を見極めてから決める必要があります。一度導入した後で別の製品に乗り換えるには、費用や時間などのコストが非常に大きいので、導入する前にしっかりと選定することが重要です。

従業員への研修が必要

ERPは従来のシステムと異なるため、従業員への教育が必要です。特にシステムの専門性が高いので、うまく使えるようになるには講師による研修が欠かせません。

ERPの導入形態

ERPの導入形態

ERPの導入形態には総合型、コンポーネント型、業務ソフト型、クラウド型の4つが挙げられます。それぞれの形態は特定のニーズや要件に対応するために設計されていますので、自社に合った形態を選びましょう。

総合型

総合型とは、企業の経営に必要な業務システムをすべて備えたERPです。あらゆる業務を一括で管理できるため、それぞれの部門間における連携をスピーディーに行えるようになります。

コンポーネント型

コンポーネント型とは、必要な業務システムだけを選択し、組み合わせて導入できるERPです。自社の成長段階や予算に合わせて、低コストから導入できる点がメリットです。

業務ソフト型

業務ソフト型は、特定の部門に特化して業務効率化を支援するITツールです。主に経理や人事などITに任せた方が効率的に業務を進められる部門で用いられるケースが多いです。

クラウド型

クラウド型とは、自社でインフラを構築せずにインターネットを通じて利用できるERPです。

そのため、サーバーや機器などを用意する必要がなく、低コストで導入できる点がメリットです。

ERP導入の手順

ERP導入の手順

ERPの導入は、企業を強化するための重要なステップですが、従来の業務プロセスを一新するため、手順を明確に把握しておく必要があります。

そこで、特に重要であるプロジェクト体制の整備やインフラの整備、運用ルールの策定について詳しく解説します。

プロジェクト体制を整備する

ERPの導入をスムーズに進めるためには、導入目的の明確化やスケジュール管理、各部署との連携を進めるための体制の整備が必要です。まず各部署からプロジェクト担当者を選任し、プロジェクト担当者を中心に現状のヒアリングを実施します。ヒアリング結果を持ち寄り、意見や要望をERPに組み込めるのかどうか検討しましょう。

また、ERP導入後に担当者がスキルを十分に発揮できるように社内外で研修などを行い、教育体制を整えることも重要です。

インフラを整備する

インフラの整備では、決定した業務プロセスに基づいてERPを実際に導入します。具体的には、データベースシステムなどの基本システムのインストールやERPのパラメーター設定などが必要となります。

また、アドオン開発や既存システムからの移行プログラムが必要である場合には実施して、データを移行します。これらの作業が完了した後で、テストを行いましょう。

運用ルールの策定をする

運用ルールの策定は、ERPの適切な運用を確保するための重要なステップです。運用ルールは開発フェーズごとにマニュアルを作成しておけば、それぞれの担当者が明確なルールのもとでRPAを活用できるようになりますので、部門間の連携強化が図れます。基本的には開発、運用、管理の項目に分けてルールを明確にするケースが多いです。

ERP導入を失敗しないためのポイント

ERP導入を失敗しないためのポイント

ERPの導入を成功させるためには、自社に合ったERPの選定やシステム導入の目的の明確化、ベンダーによるサポート体制の確認が重要です。それぞれのポイントについて詳しく解説します。

自社に合うERPを選定する

ERPは、自社の業務やニーズに合致したERP製品を見極めてから導入することが重要です。選定には、導入の目的や複数製品の導入可否などの点を踏まえて検討しましょう。

自社が求める機能や特徴があるか

自社が求める機能や特徴を理解し、それに合ったERPを選定することがERP導入の成功における重要なステップです。自社のビジネスモデル、業界の特性、業務フロー、そして将来のビジョンを考慮して、それらに最適な機能と特性を持つERPを選ぶことで、ビジネスの効率化と成長を実現できるようになるでしょう。

また、ERPの選定は長期的な視点で考えることをおすすめします。市場環境やビジネスニーズは常に変化するため、ERPには柔軟性と拡張性が求められます。この点に気をつけておけば、ビジネスが成長してニーズが変化しても、ERPで対応できるようになるでしょう。

さらに、ERPの選定は企業全体で取り組む必要があります。各部門からのフィードバックを取り入れて、全体的な視点から最適なERPを選定すれば、企業全体における業務効率化や生産性向上の実現が期待できます。

機能改変や追加の可否

ERPシステムの機能改変や追加の可否は、導入後の運用に大きく影響します。自社のビジネスニーズが変化するときには、ERPシステムはそれに対応できる柔軟性が求められます。

そのため、システムのカスタマイズが可能かどうかを確認することは非常に重要です。

新しい機能の追加や既存機能の改善は、ビジネスの変化に対応するために必要となるケースが多いです。

しかし、カスタマイズはコストと時間がかかるため、その範囲と影響を事前に評価しておくことが重要です。

また、システムの改変や追加は、システムの安定性やパフォーマンスに影響を与える可能性があります。そのため、改変や追加を行う際には、その影響を最小限に抑えるための対策が必要です。

セキュリティ機能が堅牢であるか

ERPシステムのセキュリティ機能が堅牢であるかどうかという点も、導入を考える上で非常に重要です。情報セキュリティ対策は物理的対策、技術的対策、人的対策の3つに分類されますので、それぞれ詳しく解説します。

物理的対策とは、データセンターのセキュリティやハードウェアの盗難防止など物理的な脅威から情報を守るための対策です。

また、技術的対策とは、ファイアウォールの設定や暗号化技術の利用、アクセス制御など技術的な手段を用いて情報を守るための対策を指します。

そして、人的対策とは、従業員の教育や意識向上活動など人間による情報漏洩を防ぐための対策です。

これらの対策は、それぞれが相互に関連し合っており、一部だけを強化しても全体としてのセキュリティは確保できません。

したがって、ERPシステムを選定する際には、これらの対策がすべて適切に実施されているかを確認することが重要です。

セキュリティは一度設定すれば完了するものではなく、常に最新の脅威に対応できるように更新し続ける必要があります。

そのため、ERPベンダーが提供するセキュリティアップデートやパッチのリリース頻度、サポート体制を確認することも求められています。

システム導入の目的を明確にする

システム導入の目的を明確にすることは、ERP導入の成功にとって非常に重要です。目的が明確であれば、それに基づいて必要な機能をリストアップして、その条件を満たすシステムを選定できます。

そのため、必要のない機能を盛り込んでコストを増やしてしまったり必要な機能を欠いたシステムを導入してしまったりするトラブルを防ぐことができます。

また、目的を明確にしておけば、導入後の評価基準も設定しやすくなるメリットもあります。導入したシステムが目的を達成しているかどうかを定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことでシステムの価値を最大化できるのです。

さらに、目的を社員と共有すれば、理解と協力を得やすくなります。ERPの導入が全社的な取り組みであるべき点を考えると、重要なポイントといえます。

ベンダーによるサポート体制を確認する

ERPシステムのベンダーによるサポート体制の確認も、導入成功のための重要な要素です。サポート体制は、システムの運用中に問題が発生した場合の対応速度や品質、そしてシステムの継続的な改善と最適化に大きく影響します。

24時間対応が可能かどうかという点は、特に重要です。ビジネスは時間を問わず進行するため、トラブル発生時には迅速な対応が求められます。対応言語も国際的なビジネスを展開している企業にとって重要ですので、チェックしておきましょう。

技術者の資格の有無は、ベンダーの技術力を示す一つの指標です。資格を持つ技術者がサポートに関与しているならば、システムの安定性やパフォーマンス、セキュリティなどに対する信頼性が高まります。

また、ベンダーが提供するトレーニングや教育プログラム、ユーザーコミュニティなどもサポート体制の一部と考えられますので、この点もチェックが必要です。

ERPの導入事例

ERPの導入事例

ERPの導入は、企業の業務効率化や経営判断の高速化を実現します。

そこで、具体的な導入事例をご紹介します。

ナスエンジニアリング株式会社:メンテナンスの業務負荷を改善

ナスエンジニアリング株式会社は、ホストコンピュータのメンテナンス業務負荷が大きいという課題を抱えていました。

そこで、ERPシステム「PROCES.S」を導入し、管理部門の業務負担を約2/3に低減することに成功しました。また、クラウド化によって現場の負担も軽減し、業務全体のスピードが向上しました。

参考:PROCES.Sが管理業務の負荷を2/3に圧縮 クラウド移行で現場の負担も減少

株式会社工成舎:属人業務の標準化

株式会社工成舎は、建設業ERPシステム「PROCES.S」を導入し、属人化されていた業務の仕組み化を進めました。この取り組みによって、残業時間が29.7も%削減できました。

また、工成舎は時間外労働の罰則付き上限規制に対応するために、ITツールによる業務効率化を図りました。その一環として「PROCES.S」の導入を決断した結果、ワークフローの無駄を省くだけでなく、属人化していた原価管理の標準化にも手ごたえを感じていたようです。

導入して数ヶ月経過した後には、現場で申請・承認業務ができるようになり、移動・作業の時間ロスも減りました。

さらに、原価管理をはじめとする業務の仕組み化を進められた点も大きな成果といえるでしょう。

参考:ワークフローと原価管理のシステム化で、残業時間を29.7%カット

株式会社グローバルBIM:経営管理・内部統制の強化

株式会社グローバルBIMは経営統合をきっかけとして、会計業務の標準化・内部統制強化を目指し、クラウドERP「ZAC」を導入しました。その結果、経営判断に必要なデータの取得によるタイムリーな経営管理、内部統制の強化、時間と場所に縛られない働き方の推進、間接業務時間の大幅な削減を実現できたのです。

参考:株式会社グローバルBIM ZAC導入事例

まとめ

ERPの導入は、企業の競争力を高めて成長を促進するための有効な手段です。

また、社内全体で取り組むべきプロジェクトですので、経営層だけでなく、部門担当者やIT部門などが協力して一丸となって取り組めば、成功の可能性を高めることができます。

しかし、導入には時間とコストがかかりますので、大きな損失を被る可能性もあります。

そのため、自社の課題やニーズに合致したERPシステムを選定し、綿密な計画と準備のもとで導入することが重要です。

自社の課題発見や計画の立案などでお困りの際は、ぜひエッジワークまでお問い合わせください。エッジワークでは、ERP導入に関する豊富な経験とノウハウを持つプロ人材が揃っていますので、課題分析からシステム選定、導入、運用までワンストップで支援いたします。自社に最適なERP導入プランをご提案し、導入後の運用サポートも充実していますので、ERP導入を検討している場合はぜひ一度ご相談ください。

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