組み込みソフトウェアはハードウェアに組み込んで動作をサポートするソフトウェアであり、現代では家電製品や自動車など様々な分野で使われています。そのため、自社で組み込みソフトウェアを導入する企業も増えていますが、複雑な専門性からハードルの高さが懸念される場合が多いです。
そこで本記事では、組み込みソフトウェアの概要や費用相場、開発の流れなどについて詳しく解説します。デバイスの利便性向上や機能の充実を目指しているならば、ぜひご覧ください。
組み込みソフトウェアとは
組み込みソフトウェアとは、特定のハードウェアに組み込んでその動作を制御するソフトウェアを指します。家電製品や自動車などの身近な製品から、医療機器や産業用機器などの専門的な機器まで幅広く使用されており、デバイスの性能を最大限に引き出す役割を担っています。
リアルタイムに機能する点や安全性が重要視される点が特徴であり、厳格な品質が求められています。
組み込みソフトウェア開発にかかる費用相場
組み込みソフトウェアの開発にかかる費用は、主に以下のコストが挙げられます。
- 人件費
- 諸経費
それぞれの概要や相場について詳しく解説します。
人件費
組み込みソフトウェア開発では、人件費が最も大きなコストとなります。専門性が高い優れた人材だけでなく、開発者やプロジェクトマネージャー、エンジニアなど数多くの人材が必要なので、かなり大きなコストがかかります。
また、組み込みソフトウェアの対象となる製品やプロジェクトの複雑性によっても、費用が異なる点にも気をつけましょう。
組み込みソフトウェアを含むソフトウェアやシステムの開発には、かなりの人件費が必要です。
そのため、自社で内製化するのが難しいケースも多いです。そのような場合には、専門性が高くノウハウ豊富な企業に外注する方法をおすすめします。
人件費の相場は、以下の通りです。
人件費:数百万円~数千万円
人件費はプロジェクトの規模によって大きく異なりますので、事前に見積もりを出してもらうことが重要です。
諸経費
諸経費には、以下のような費用が挙げられます。
- ライセンス費用
- テストにかかる費用
それぞれの費用相場は、以下の通りです。
ライセンス費用:数十万円~百万円
テストにかかる費用:数十万円~百万円
これらの費用もプロジェクトや対象製品によって大きく変動しますので、事前に見積もりしておくことが求められます。
組み込みソフトウェア開発の流れ
組み込みソフトウェアの開発は、以下のような流れで行われます。
- 目的を明確にする
- システム要件定義
- システム設計
- ソフトウェア要件定義
- ソフトウェア設計
- 実装
- ソフトウェアテスト
- システムテスト
それぞれのフェーズについて詳しく解説します。
目的を明確にする
まずは開発プロジェクトの目的の明確化が重要です。ソフトウェアやシステムなどの開発では、目的をきちんと定めていなかったことから道中で指針を見失ってしまい、思ったような結果が得られなかったケースが多く見られます。そのため、開発前に目的を明確にしておくことは必須事項といえるでしょう。
その過程では、ソフトウェアの開発によって解決すべき問題や達成する目標を決めておく必要があります。組み込みソフトウェアの対象となる製品によって、家電製品の利便性向上や自動車に搭載する機能の充実、医療機や産業用機器の汎用性アップなど目的は異なりますので、自社のプロジェクトに合ったビジョンを定めることが求められます。
またプロジェクト面の問題だけでなく、開発関係者におけるビジョンの共有も必要です。関係者間で認識が食い違っていると、その後のシステム要件定義やソフトウェア要件定義で思っていた機能が追加されないケースもあります。
そのため、どのようなソフトウェアやシステムを開発したいのかイメージを明確化して共有することも求められるでしょう。
システム要件定義
システム要件定義とは、開発するシステムの機能や条件を明確化するフェーズです。発注者から目的やニーズをヒアリングして必要な機能を具体化し、システム要件を定義します。
このフェーズでは、主に以下の3つのポイントが重視されます。
- 機能要件:発注者が求める内容を実現するために、どのような機能を実装するか
- 非機能要件:性能やシステムの安定性を定義する
- 制約条件:技術的な条件や環境などを明確化して、対策を立てる
システム要件定義は納品物の品質に大きく影響するため、正確に行うことが求められます。
しかし、どれだけ要件定義に気をつけていても要件の変更が生じるケースもよく見られますので、対策を練っておくことも重要です。
システム設計
システム設計とは、システム要件を実現するための具体的な設計を行うフェーズです。このフェーズでは、システムの根幹を構築する基本設計が行われます。
基本設計
基本設計では、システムの全体像を設計します。主にシステムのアーキテクチャやメインコンポーネントを設計し、具体的にはシステムの構造や全体の仕様などを定義します。組み込みソフトウェアの場合には、対象製品とソフトウェアの役割分担を明確にする点が重要です。
システム設定の基礎である基本設計をしっかり行っておけば、以降の工程がスムーズに進行しやすくなるでしょう。
しかし、システム変更や設計ミスなどに備えて工程を戻せるようにしておく方法もおすすめです。
また、将来的なシステム拡張に対応するために、柔軟的な内容に設計しておく点も重要です。
ソフトウェア要件定義
ソフトウェア要件定義では、デバイスの機能をサポートする組み込みソフトウェアの性能を具体化して定義します。システム要件定義における内容をもとにして、ソフトウェアの動作内容をできる限り細かく定義する点がポイントです。
システム要件定義のフェーズよりも、ユーザーが求めるニーズからデバイスに求める性能を定義しやすいので、実際の使い心地や利便性などの面から検討することをおすすめします。
ソフトウェア設計
ソフトウェア設計とは、ソフトウェア要件を実行するための設計を行うフェーズです。主に以下の2つの工程に分かれます。
- 基本設計
- 詳細設計
それぞれ詳しく解説します。
基本設計
ソフトウェア設定における基本設計では、ソフトウェア全体の構造や重要なモジュールを設計します。具体的には、メインとなる機能やアーキテクチャなどの主要部分を設計します。
組み込みソフトウェアの場合には、デバイスとの関連性からモジュール間のインターフェースやデータの流れを整備して、デバイスに組み込んだ際にシステムがきちんと機能するか確認することが重要です。また医療機器や産業用機器など専門性が高いデバイスの場合には、エラー対策が入念に行われる点が特徴です。
詳細設計
詳細設計では、基本設計から機能の具体的な実装方法を設計します。プログラムの構造やアルゴリズムの構築など詳細かつ重要な部分を作成します。
詳細設計ではプログラムやアルゴリズムなど繊細な部分を作成しますので、より一層デバイスとソフトウェアの整合性が意識される特徴があります。
実装
実装とは、新しい機能を設計や仕様に基づいて実物に組み込む作業です。詳細設計まで完了した後は、プログラムをコーディングして実装を行います。コーディングは非常に繊細な作業ですので、専門のエンジニアに任せる方法もいいでしょう。
ソフトウェアテスト
ソフトウェアテストでは、実装したソフトウェアがシステム要件を満たしているか確認します。具体的には、以下の3つの段階で行います。
- 単体テスト
- 結合テスト
- 統合テスト
それぞれのフェーズについて詳しく解説します。
単体テスト
単体テストでは、単一のモジュールにおいて機能が正しく動作するかチェックします。主にプログラムが設計した通りに動作するか確認します。
結合テスト
結合テストでは、複数のモジュールを組み合わせて機能を確認します。主にモジュール間のインターフェースなどをチェックします。
統合テスト
統合テストでは、システム全体が問題なく機能するかテストします。具体的には、機能の統合性やシステムの整合性などをチェックします。
システムテスト
システムテストでは、システム全体の動作を確認して要件を満たしているかチェックします。主に以下の2つの工程で行われます。
- 結合テスト
- 受け入れテスト
それぞれ詳しく解説します。
結合テスト
結合テストでは、完成したシステムを連携させて正常に動作するか確認します。組み込みソフトウェアの開発で障害が見つかった場合には、システムとデバイスの相性に問題があるケースが多いので、その点を検証します。
受け入れテスト
受け入れテストとは、発注者がシステムを実際に動かして正常に動作するか確認する最終テストです。受け入れテストを通過すれば、納品が完了します。
しかし、発注者にシステムの管理担当者などがいない場合には、省略するか外注先が代理で確認する方法があります。ただし、環境確認などの点から実際に発注者が確認する方法が適切といえるでしょう。
組み込みソフトウェア開発を外注する際の選び方
組み込みソフトウェア開発の外注を検討している場合には、以下のポイントを重視しましょう。
- 実績が豊富であるか
- 得意のジャンル
- 得意の開発言語
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
実績が豊富であるか
まずは、外注先の実績を確認することが重要です。組み込みソフトウェア開発など依頼したい業務の過去実績をサイトからチェックしておきましょう。
また、担当者から実績をヒアリングしておく方法もおすすめです。
より具体的な内容を確認できますので、自社が依頼する予定のシステムやソフトウェアを作成した実績について詳しく聞いておきましょう。
得意のジャンル
外注先の得意なジャンルを確認しておくことも欠かせません。システム企業はプロジェクトの内容や開発環境などによって得意な業務が異なりますので、自社に合った外注先を選びましょう。
特に組み込みソフトウェアはデバイスによって得意不得意が分かれる傾向がありますので、対象となる製品のシステムやソフトを構築するノウハウがあるかどうか確認しておくといいでしょう。
得意の開発言語
開発言語をチェックしておくことも重要です。既存のプログラミング言語だけでなく、自社独自の開発言語を使っているところもありますので、この点もサイトや担当者から確認しておきましょう。
組み込みソフトウェアでは、既存のデバイスに用いられているプログラミング言語でないとうまく作動しない恐れがありますので、対象製品で使っている言語を確認しておきましょう。
ただし、相性次第によっては異なる言語でも機能するケースもありますので、その点は担当者などの専門家に相談しておいてもいいでしょう。
まとめ
組み込みソフトウェア開発には、要件定義や設計、テストなどあらゆる過程において高度な技術が必要です。また費用もプロジェクトの規模によっては数千万円かかるケースもありますので、事前の見積もりが欠かせません。
そのため内製化できない場合には、外注することをおすすめします。実績や得意ジャンル、得意な開発言語を考慮して、自社に合った企業を選びましょう。
組み込みソフトウェア開発などシステム関連の業務で外注を検討しているならば、エッジワークが提供するプロ人材の業務委託サービスがおすすめです。専門的な知識と豊富なノウハウを持つ人材が協力しますので、スムーズな導入が可能です。電話やメール、サイトからご相談を受けつけていますので、ぜひ一度ご連絡ください。
副業社員・フリーランスなどのスポットワーカーにプロジェクト単位でタスクを依頼・発注できるプロ人材活用サービス