DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、顧客データを一元管理し、マーケティング施策の最適化を図る強力なツールです。
しかし、「導入のメリットがイメージできない」「他社の活用事例を知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、DMPの基本から具体的な活用事例、導入のポイントまで詳しく解説します。
実際に売上や広告効果が大幅に向上した企業の成功事例をもとに、「DMPの導入」でどのような成果が期待できるのかを確認していきましょう。
DMPとは

DMP(Data Management Platform)は、企業がマーケティング活動を最適化するためのデータ管理プラットフォームです。導入することで、自社が保有する顧客データ(1stパーティデータ)や、外部データ(3rdパーティデータ)の収集・統合・分析・活用が可能になります。
データを一元管理することで、ターゲットに応じた広告配信や、顧客行動の分析をもとにした効果的な戦略設計が可能。精度の高いマーケティング施策を実施することで、売上や顧客満足度の向上にもつながります。
また、DMPには「パブリックDMP」と「プライベートDMP」の2種類があります。それぞれ特徴が異なるため、これらの違いについて詳しく解説します。
パブリックDMP
パブリックDMPは、外部のデータプロバイダーが提供する3rdパーティデータを活用する仕組みです。市場全体のデータを基に分析できるため、新規顧客の獲得や広告配信の最適化に役立ちます。
例えば、「特定の業界や商品の購買傾向を把握し、ターゲット層に合った広告を配信する」といった活用が可能。ただし、他社と同じデータを利用するため差別化が難しく、独自の戦略を立てにくい点には注意が必要です。
プライベートDMP
プライベートDMPは、自社の1stパーティデータを活用する仕組みです。顧客の購買履歴やWebサイトの行動データなどを蓄積し、マーケティング施策の精度を高めることができます。
例えばECサイトなら、「過去の購入データをもとにおすすめ商品を表示」、「リピーター向けのキャンペーンを実施」するといった活用が可能です。自社独自のデータを使えるため、精度の高い施策が打てる一方、導入や運用にはコストや専門知識が必要になります。
DMP導入の成功事例をご紹介

DMPを活用することで、売上向上や広告効果の改善につながった企業も多くあります。
ここでは、以下の2つの事例をご紹介します。
- 神立高原スキー場:売上高が1.3倍に向上
- ゴルフダイジェスト・オンライン:Web広告の配信効果が約8倍に向上
神立高原スキー場:売上高が1.3倍に向上
- 導入前の課題
近年のウィンタースポーツ人口の減少や、暖冬による雪不足などの影響で、スキー場の集客が困難に。特に2015年12月から2016年4月にかけてのシーズンは、全国的な暖冬によりスキー場のオープン時期が遅れるなど、厳しい状況に直面していた。
- 導入の決定
オンライン上で取得したデータを活用してスキー場への来場を促進するO2O(Online to Offline)の仕組みを構築するため、ブレインパッドのプライベートDMP「Rtoaster」を導入した。
- 導入後の効果
「Rtoaster」を活用した、「スタンプ会員施策」「ポップアップアンケート」「レコメンド機能」などの施策により、売上高が前年同期比で1.3倍に向上した。
出典:https://www.brainpad.co.jp/news/2016/04/25/1834
ゴルフダイジェスト・オンライン:Web広告の配信効果が約8倍に向上
- 導入前の課題
既存顧客だけでなく、自社サービスを利用したことのないゴルフ愛好者や、ゴルフに興味はあるがサービスを知らない潜在顧客に対して、効果的なデジタルコミュニケーションを図り、新たなゴルフファンを獲得したいと考えていた。
- 導入の決定
顧客の特性や趣味・嗜好を深く理解し、デジタル上でのコミュニケーションを強化するため、ブレインパッドの「Rtoaster」を導入した。
- 導入後の効果
「Rtoaster」を活用し、「パーソナライズド広告配信」「類似ターゲットへのアプローチ」などの施策を実施。自社会員数の10倍を超える新規顧客への接触が可能となり、ゴルフ場予約サービスの新規予約者獲得数が従来の約8倍に増加した。
出典:https://www.brainpad.co.jp/case/01.html
DMPの導入で実現できること

DMPを導入すると、以下のことが実現できます。
- データの収集・統合・分析
- ターゲットに合わせた広告配信
- データに基づく戦略設計
それぞれについて、詳しく解説します。
データの収集・統合・分析
DMPは、Webサイトの閲覧履歴・SNSの反応・購買履歴など、さまざまなデータを集約。そのうえで分散していた情報を統合し、顧客の行動や嗜好を詳しく分析します。
この分析結果を活用することで、ターゲットに合った施策を的確に打ち出すことが可能です。例えば、ECサイトなら「購入履歴」と「閲覧データ」を組み合わせることで、リピーター向けのキャンペーンや、関心の高い商品のレコメンドができるようになります。
ターゲットに合わせた広告配信
DMPを活用すると、顧客の行動や属性に応じて広告を最適化できます。
例えば、過去に特定の商品を閲覧した人には、その商品や関連アイテムの広告を表示。また、年齢や性別などの情報を活用し、ターゲットごとに適した広告を配信することも可能です。
自社の商品に興味を持つ層へピンポイントでアプローチできるため、無駄な広告を減らし、コンバージョン率の向上が期待できます。
データに基づく戦略設計
DMPを導入すると、データをもとにしたマーケティング戦略を立案できるようになります。
例えば、「広告の反応をリアルタイムで分析し、効果が低い場合は配信方法を変更」、「顧客の購入履歴をもとに、リピーター向けの施策を強化する」などの戦略設計が可能です。
勘や経験に頼る手法とは異なり、実際のデータを根拠に判断できるため、より精度の高い施策を実施できるようになります。
DMPを導入する際の注意点

DMPを導入する際は、以下の注意点を理解しておきましょう。
- 初期コスト(導入費)がかかる
- 専門的な知識や運用体制が必要
- セキュリティ管理の負担が増える
それぞれ詳しく解説していきます。
初期コスト(導入費)がかかる
DMPの導入には、初期費用や運用コストが発生します。
特にプライベートDMPの場合は、導入費用が高額になることが多く、企業の規模や必要な機能によっては数千万円以上の投資が必要となる場合もあります。また、クラウド型のDMPでも、月額10万円〜50万円ほどのランニングコストがかかるのが一般的です。
このように、DMPの導入には、初期費用だけでなく長期的なコストを見据えた判断が必要になります。導入前に費用対効果を十分に検討しておきましょう。
専門的な知識や運用体制が必要
DMPを効果的に運用するには、データ分析やマーケティングに関する専門知識を持つ人材が必須。また、継続的なデータの整理や分析が求められるため、専門チームの編成が必要です。
社内に適切な人材がいない場合は、「新たに採用する」か「既存のスタッフを育成する」必要があり、大きなコストがかかる点に注意しましょう。
セキュリティ管理の負担が増える
DMPでは大量の顧客データを取り扱うため、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策が不可欠です。データの取り扱いに関する社内ルールの整備や、個人情報保護法などの関連法規への対応が必要になります。
もしセキュリティ対策が不十分なまま運用すると、データの漏えいや不正アクセスのリスクが高まり、企業の信用失墜につながるため注意が必要です。
DMP導入のプロセス

DMP導入は、以下の3ステップで進めるのが基本です。
- 目的の明確化・運用体制の構築
- システムの選定
- 運用・改善
それぞれのステップについて、詳しく解説します。
1.目的の明確化・運用体制の構築
DMPを導入する前に、解決したい課題を明確にします。例えば、新規顧客の獲得やリピート率の向上など、具体的な目的を設定することが重要です。
その上で、広告のクリック率(CTR)向上や売上増加といったKPIを設定し、成果を測定できるようにしましょう。
また、マーケティング担当やIT担当など、運用に関わるメンバーの役割を決めておくことも必須。スムーズな運用を実現するため、導入前から準備を進めておきましょう。
2.システムの選定
DMPには、外部データを活用するパブリックDMPと、自社データを活用するプライベートDMPがあります。新規顧客の獲得を目的とするならパブリックDMP、既存顧客の分析を重視するならプライベートDMPが適しています。
導入前に必要な機能を洗い出し、複数のツールを比較しながら、自社に最適なDMPを選定しましょう。
3.運用・改善
DMP導入後は、データの収集・統合を行い、マーケティング施策を本格的に開始します。広告配信や顧客対応の精度を上げるため、顧客データをもとに属性ごとのセグメントを作成し、それぞれに適した施策を実施していきます。
また、PDCAサイクルを回しながらデータを分析し、施策の効果を検証。成果が出ていない場合はターゲットの見直しや配信方法の調整を行い、継続的に改善を進めます。
まとめ
DMPの導入により、データの収集・統合・分析を通じて、ターゲットに最適なマーケティング施策を実施できます。実際に、神立高原スキー場では売上が1.3倍に向上し、ゴルフダイジェスト・オンラインでは広告効果が約8倍に向上しました。
一方で、導入にはコストや運用体制の整備、セキュリティ管理などの課題もあります。
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