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公開日:2025/04/24

RAG導入事例厳選10選!RAGを導入するメリットもあわせて解説

RAG導入事例厳選10選!RAGを導入するメリットもあわせて解説 

自社データと生成AIを組み合わせるRAG(RetrievalAugmentedGeneration)の活用が広がっています。

本記事では、業務効率化や回答精度向上につながるRAG導入事例を厳選して10社ご紹介します。

各社の具体的な取り組みを見ていきましょう。

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RAGとは

RAGとは

RAGとは、大規模言語モデルの出力を最適化する手法を指します。

近年、「生成AI」を業務に取り入れる企業が増えています。
しかし、社内の専門的な質問や最新の情報に対しては、汎用的なAIだけでは十分な回答が得られない場合があります。
その原因の一つに、生成AIの学習モデルが社内データや最新情報を含んでいないこと、そして事実とは異なる回答(ハルシネーション)を生成してしまう問題があるのです。

この課題に対応する解決策が、RAG(RetrievalAugmentedGeneration)です。

RAGは、生成AIに自社のデータや外部の情報を検索・参照させながら回答を生成する仕組みで、必要に応じて関連情報を検索して回答へ反映させます。

そのため、通常のAIチャットでは難しい社内の固有知識に基づいた回答や、常に最新の情報を踏まえた対応が可能になります。

言い換えれば、RAGを使えばAIが「自社の資料を調べてから答える」イメージで、より信頼性の高い回答を返せるのです。

RAGを導入するメリット

RAGを導入するメリット

RAG技術を導入すると、社内外の情報を組み合わせてAIが回答できるようになるため、さまざまなメリットがあります。

ここでは、RAGを企業が活用する主なメリットは以下の5つです。

  • 回答精度・信頼性の向上
  • 最新情報の活用
  • 業務効率化の促進
  • 顧客対応品質の向上
  • 自社データの有効活用

以上のように、RAGの導入は企業にとって業務フローの効率改善だけでなく、回答の品質向上や社内ナレッジの資産化といった面で大きな価値があります。

RAG導入事例厳選10選

RAG導入事例厳選10選

ここからは、様々な業界・業種の企業がRAGを活用して業務効率化やサービス向上を実現した導入事例を紹介します。

それぞれの企業が直面した課題やRAGシステムの特徴、得られた効果に注目しながら見てみましょう。

LINE

LINEは、社内向け生成AIツール「SeekAI」を全従業員に導入しました。

膨大な社内文書データベースをRAGで活用し、社員の質問に対して部門ごとの最適な回答を即座に表示します。

社内規程や技術資料などの確認・問い合わせにかかる時間を大幅に削減し、年間数十万時間規模の業務効率化を目指しているのです。

テスト導入段階では一部業務で約98%という高い正答率を記録しており、社内問い合わせ対応の精度向上と効率化に大きく貢献しています。

株式会社ゆめみ

DX支援企業の株式会社ゆめみは、新入社員のオンボーディング支援のためにRAG技術を活用した社内生成AIシステムを構築しました。

Slack上で動作する独自のQAチャットボットに社内のNotionドキュメントを連携させ、膨大な自社ナレッジから必要な情報を即座に検索・回答できるようにしています。

これにより、新入社員は疑問点を自ら解決しやすくなり、メンター任せだった従来の対応負荷も軽減しました。

組織の変化に伴う情報更新にも柔軟に対応でき、オンボーディングの効率化とスムーズ化につながっています。

東洋建設

東洋建設株式会社では、建設現場の安全管理強化を目的に「K-SAFE東洋RAG適用バージョン」というAI危険予知システムを開発しました。

厚生労働省の労災データに加え、自社の安全基準や過去の事故・ヒヤリハット事例など社内データをRAGで学習させています。

現場での質問に対し、LLMが社内基準に基づいた回答をイラスト付きで提示し、安全確認や新人教育に活用されています。

その結果、災害発生の未然防止に役立つとともに、現場担当者の負担軽減や協力会社への安全意識共有にも貢献しているのです。

検索性・視認性が向上し、安全対応の精度も高まりました。

AGC

ガラス・化学大手のAGC株式会社では、2023年から社内向け生成AI環境「ChatAGC」を運用し、そこにRAGを導入することで社内データを活用した応答を実現しています。

社員は社内の技術文書や製造記録、顧客情報などを横断検索でき、問い合わせに対する回答や技術的な対応策の作成を効率化しています。

例えば、ベテラン社員に属人化していた専門知識もChatAGCで共有され、過去の製造不具合事例をもとにした解決策提案や顧客ニーズへの適切な対応が可能となりました。

RAGにより情報活用の幅が広がり、社内ヘルプデスク業務の効率化と回答の精度向上につながっています。

近畿大学

近畿大学では、学生や受験生からの問い合わせ対応力向上のため、RAGを活用したAIチャットボットシステムを導入しました。

従来のチャットボットは用意された想定問答集でしか回答できませんでしたが、新システムでは大学に関する各種ドキュメントやWEB情報をRAGにより学習させています。

その結果、大学独自の最新情報を踏まえた高精度な回答が可能となり、問い合わせ内容に柔軟に対応できるようになりました。

学生からの質問への回答品質が向上するとともに、職員の負担軽減にもつながっています。

JR東日本

JR東日本は、2024年6月より社内向けの生成AIチャットツールを全社員に展開しました。

生成AIチャットツールにはRAGが組み込まれており、社内文書を事前に登録しておくことで、社員が業務上の疑問点を質問した際にJR東日本固有の業務知識に基づいた回答を得られます。

一般的な生成AIでは難しい鉄道業務特有の問い合わせにも対応可能となり、社内問い合わせ対応のスピードアップと均一化を実現しました。

従業員は必要な情報を迅速に入手できるため、全社的な業務効率化に役立っています。

アサヒビール

アサヒビールでは、社内の技術知識を有効活用するため、RAGを活用したAI検索システムを開発しました。

ビール醸造のノウハウやビールサーバー・容器に関する技術情報など、さまざまな社内技術文書をRAGで学習させ、必要な情報に即座にアクセスできるようにしています。

特に、生成AIによる要約機能に注力しており、複雑な技術資料もおよそ100文字程度で簡潔に要約表示されます。

研究開発担当者は膨大な資料から必要な知見を短時間で把握でき、情報検索に費やす時間を大幅に短縮しました。

自社データを活用した業務効率化と技術伝承の促進につながっています。

LION

日用品メーカーのLIONは、社内の膨大な技術知見や実験データを迅速に活用するため、「知識伝承のAI化」ツールを自社開発しました。

クラウド提供の生成AIと社内検索システムを組み合わせたRAG型の仕組みで、研究員が自然な文章で質問を入力すると、社内に蓄積された関連文書を高速検索し、内容を要約した回答を提示します。

検証では必要文書の検索時間が従来比で約5分の1に短縮され、生成AIの要約からも効率良く情報を得られることが確認されました。

また、同社は2023年5月に生成AIチャットボット「LIONAIChat」を全社員に公開するなど、生成AIの業務活用にも積極的です。

これらの取り組みにより、社内ナレッジの共有促進や業務効率化、新たなイノベーション創出への土台作りが進んでいます。

セゾンテクノロジー

セゾンテクノロジーでは、自社製品「HULFT」のサポート業務に生成AIを活用しています。

AmazonBedrockを用いたRAGシステムを開発し、テクニカルサポートセンターで試行運用した結果、問い合わせ対応におけるエンジニアの回答作成時間を最大30%短縮しました。

熟練・若手問わず効果が現れ、センター全体で約10%の業務効率化を達成。

さらに、回答作成時の心理的負担が半数以上のエンジニアで軽減されたとのフィードバックも得ています。

RAGにより蓄積されたQAデータベースやマニュアルから必要情報を素早く検索・提示できるため、回答のばらつきを減らし対応品質の均一化にも貢献しているのです。

生成AIと自社ナレッジを組み合わせたこの取り組みは、顧客対応力の強化とサポート業務の効率化に大きな成果を上げています。

NEC

NECは、製造業における熟練技術者のノウハウ継承課題に対応すべく、LLMを活用した製造現場向け支援システムを開発しました。

長年蓄積した設備トラブル対応記録や日報などの業務ナレッジを事前にシステムへ登録し、現場作業員がチャット形式で質問すると過去の事例に基づいた最適な回答を提示します。

システムではRAG(検索拡張生成)の手法を用いることでAIの誤回答(幻覚)を抑制しつつ、質問内容に合致した情報を高精度に呼び出すことに成功しました。

経験の浅い作業員でもベテランの知見にアクセスでき、問題発生時の対応スピードと正確さが向上します。

まとめ

RAGの導入は業種を問わず幅広い企業で進んでおり、業務効率化や回答精度の向上に大きく貢献しています。

具体的な成功事例を通して、RAGを活用すると社内データと生成AIを融合し、従業員や顧客への対応力を高めていることがお分かりいただけたかと思います。

RAGは汎用的なLLMでは、難しい自社固有の課題解決に有効なアプローチです。

とはいえ、自社内でゼロから環境を構築するには高度な技術力とコストが伴います。

そこで選択肢となるのが、生成AIやRAGの専門知見を持つ外部への開発委託です。

エッジテクノロジーが運営する「エッジワーク」は、経験豊富なプロ人材が参画するサービスで、生成AI導入や自社データ活用の相談から開発まで柔軟に支援します。

RAG導入を検討中の企業は、信頼できるパートナーの力を借りながら、自社ニーズに合った生成AI活用を進めてみてはいかがでしょうか。

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