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公開日:2025/06/30

SAP導入事例8選!SAP導入で気を付けるべきポイントと合わせて解説

SAP導入事例8選!SAP導入で気を付けるべきポイントと合わせて解説

SAPは多くの企業で導入が進む基幹業務システムですが、その導入には高いコストや自社への適合性といった課題も伴います。成功のカギを握るのは、自社に最適な導入方法の見極めと、事例から学ぶことです。

この記事では、さまざまな業種・規模の企業によるSAP導入事例8選を紹介しながら、導入時に気を付けるべきポイントについても解説します。これからSAP導入を検討している企業担当者の方にとって、具体的なヒントとなる内容です。

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SAPの導入で気を付けるべきポイント

SAPの導入で気を付けるべきポイント

SAP導入は業務効率化に効果的ですが、計画不足や自社とのミスマッチが失敗の原因になることもあります。ここでは導入時に注意すべきポイントを解説します。

要件定義の段階でよくある失敗とその対策

要件定義の段階でよくある失敗に、要件が曖昧なままプロジェクトを進めてしまうことや、現場のニーズと乖離した内容でシステムが形骸化してしまうケースがあります。

こうした失敗を防ぐには、初期段階でユーザーや関係部門へのヒアリングを丁寧に行い、実務に即した要件を整理することが重要です。

また、要件を明文化し、ドキュメント管理や関係者によるレビューを重ねることで、認識のズレを防ぐことができます。

自社に合ったSAPパートナーの選び方

SAP導入パートナーは、企業ごとに対応できる業種や業務範囲、導入支援の実績、サポート体制などに違いがあります。そのため、自社の業務内容や導入目的に合ったパートナーを選定することが成功の鍵となります。

選定時には、実績や提案力だけでなく、導入後の運用サポートや継続的な改善提案が可能かも確認しましょう。長期的なパートナーシップを見据え、信頼できる体制と柔軟な対応力を持つ企業を選ぶことが重要です。

現場の混乱を防ぐための導入前後のコミュニケーション戦略

SAP導入時は、現場の混乱を最小限に抑えるためのコミュニケーション戦略が重要です。導入前には説明会を実施し、操作マニュアルや手順書を整備しておくことで不安を軽減できます。

さらに、段階的なトレーニングの実施と、導入後も質問や課題に迅速に対応できるサポート体制の構築が不可欠です。また、現場からの意見を継続的に吸い上げるフィードバックループを整えることで、定着と運用改善をスムーズに進めることができます。

SAPの導入事例8選

SAPの導入事例8選

ここでは、実際にSAPを導入し、業務効率化や業績向上を実現した8つの企業事例を紹介します。各社の導入背景や導入後の効果を詳しく見ていきましょう。

①四国化成グループ

四国化成グループは、元々2013年に子会社である四国化成工業会社にSAP ERP 6.0を導入していました。その後、SAP ERP 6.0の標準サポートが2025年に終了することがわかり、最新バージョンのSAP S/4HANAへのマイグレーションを行いました。

移行の際には、支援会社に綿密なアセスメントを実施してもらいながら、マイグレーションに伴う影響を調査してもらいました。こうした対応が功を奏し、1年間という短い期間で無事に本番稼働を迎えることができました。

稼働後も、滞りなくシステムの安定稼働を維持することができており、現場からも安心の声があったようです。

参考:https://www.hitachi-systems.com/ind/sap/case/shikokukasei/

②三菱電機エンジニアリング株式会社

三菱電機エンジニアリング(MEE)は、SAP ERPのバージョンアップを機に、業務プロセス全体の課題を可視化し、抜本的な業務改善を図るため、「SAP Signavio」を導入しました。

富士通の独自分析サービスと組み合わせ、プロセスマイニング技術を活用して現行運用を客観的に評価しました。そして、部門横断的なアセスメントを1カ月で完了し、詳細分析に基づく改善案の作成まで実施しました。

これにより、業務の無駄や非効率を早期に特定できたほか、現場との連携を深めながら、業務改革を円滑に推進できる体制を構築することができました。短期間で成果を出しつつ、今後のDX推進にもつながる基盤整備を実現しています。

参考:https://global.fujitsu/ja-jp/customer-stories/cs-mee-20241206

③ジャパンラグビーマーケティング株式会社

ジャパンラグビーマーケティング株式会社は、ラグビーファンのエンゲージメントを高めるためのマーケティング事業を行っています。

当時はワールドカップの追い風を生かしてファンを増やそうとしていたものの、ファンマーケティングを行うための基盤がないことが課題でした。そこで、同社は会社設立とほぼ同時期にSAPを導入しました。

導入後の効果として、統合IDの登録ユーザーは約23万人以上となり、8割がアクティブユーザーとなりました。また、テスト的にメールマーケティングを行ったりなどデータに基づいて内容を変えてアプローチするなど、様々な施策の実施に寄与しています。

参考:https://www.nttcoms.com/service/ciam/case/jrm/?utm_source=PRTIMES&utm_medium=referral&utm_campaign=250131_NPS_interview

④日本タングステン株式会社

日本タングステン株式会社は「SAP ECC 6.0」を15年以上利用している会社です。しかし、2027年末のサポート終了に伴う対応を迫られていました。

そこで、同社はより確実性が高く、かつコストを抑えることを意識し、現行システムからの変更を極力行わない「SAP S/4HANA」へのマイグレーションを実施しました。

導入後、一部のアドオンはパフォーマンスに影響を受けたものの、見直しを行うことで、移行前よりもパフォーマンスが改善したものもあり、ユーザーから喜びの声も届いていたそうです。

また、SAPシステムをクラウド環境に移行したことで、システム切り替えの発生リスクも大きく低減できました。

参考:https://www.hitachi-systems.com/ind/sap/case/nittan/

⑤大阪市高速電気軌道株式会社

民営化を機に新たな会計システムとして「SAP ECC 6.0」を導入した大阪市高速電気軌道株式会社は、ベンダー任せで要件定義を実施した結果、各種マスタ体系が整備されていないことによる入力担当者の負荷、予実管理がシステム上でできない、必要なデータが取り出せないなどの様々な課題が指摘されるようになりました。

このような状況をうけて、同社は経理部門全体で経理基盤システムのあるべき姿を整理し、必要なシステムのイメージを描きました。その結果として、「SAP S/4HANA Cloud」を導入することに決めました。

導入の過程で、業務フローの見直しに伴いアドオンを80%削減するといったことも行いながら、1年で本稼働にこぎつけることができました。その後は業務に大きなトラブルもなく、円滑に実施できているようです。

参考:https://news.sap.com/japan/2024/10/%E6%B0%91%E5%96%B6%E5%8C%96%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F-osaka-metro-%E3%81%8C-sap-s-4hana-%E3%81%A7%E7%B5%8C%E7%90%86%E5%9F%BA%E5%B9%B9%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%82%92%E5%88%B7%E6%96%B0/

⑥花王株式会社

花王株式会社は情報システムの先端企業としても有名です。当時、同社の課題として、「グローバル経営情報の見える化による経営強化」「事業の急激な変化やM&Aに迅速に低コストで対応」「欧米の大手小売業に太刀打ちできる交渉力」「国際会計基準(IFRS)への対応準備」がありました。

同社はこれらの課題の解決に向けて、基幹システムをコア領域とノンコア領域に分け、ノンコア領域である購買管理、生産管理、物流管理、販売管理、財務・管理会計などはSAPパッケージで再構築しました。

従来のシステムを単にSAPに置き換えるのではなく、それをベースにしていかにベストプラクティスを迅速に取り込めるかを考える必要がありましたが、同社はコンサルティング会社に支援をいただきながらこの課題を乗り越え、グローバル経営情報の見える化の実現に成功しました。

参考:https://www.abeam.com/jp/ja/case_study/cs034/

⑦住友重機械工業株式会社

住友重機械工業株式会社は、既に利用していた「SAP ECC 6.0」のサポート終了が迫っていたことや、決算期変更など凍結できないプロジェクトを進めながら、現行業務に影響を与えずにグローバルオペレーション実現に向けたグローバルシステムへの統合基盤構築が課題でした。

そこで同社は「SAP S/4HANA」を導入しました。この導入プロジェクトは当時の新型コロナウイルスの影響もあり、フルリモートでの対応でした。

無事にシステムが導入されたことで、グローバルオペレーション実現に向けたグローバル共通システム基盤、仕組みが完成し、データドリブン経営やDXのような新しい取り組みに挑戦できるようになりました。

参考:https://www.hitachi.co.jp/products/it/industry/case/2404_shi/index.html

⑧TOPPAN ホールディングス株式会社

同社は凸版印刷から持株会社へと生まれ変わり、中期経営計画の重点施策の1つに「システム基盤のモダナイゼーション」を掲げていました。
もともと印刷事業を前提に個別最適化されたシステムを利用していたため、経営管理ルールを見直し、全体最適を前提としたグループ共通の基幹システムへの再構築を行いました。

この再構築に向けて、同社は「SAP S/4HANA」の導入を採用し、この「SAP S/4HANA」 を稼働させる基盤には、AWS をベースとした 「SAP HANA Enterprise Cloud」を採用しました。

導入後は経理業務の効率化やデータ利活用による高度化の実現といった効果が見られ、システムもトラブルなく順調に稼働しているようです。

参考:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/toppan/

まとめ

SAP導入は業務効率化や経営基盤の強化に効果的ですが、要件定義の精度や現場との連携、導入パートナーの選定など、成功には多くの注意点があります。導入前後の丁寧なコミュニケーションや継続的な改善体制も重要です。

こうした課題を乗り越えるには、豊富な経験と専門性を持つ人材の力が不可欠です。エッジワークには、SAP導入に精通したプロ人材が多数在籍しており、必要なスキルを持つ人材を業務委託で柔軟に活用できます。導入支援にぜひご活用ください。

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