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公開日:2024/06/19

データベース構築にかかる費用と抑える方法について

データベース構築にかかる費用と抑える方法について

データベース構築は、ビジネス運営において重要な役割を果たしますが、データベースの種類がいくつもあるのと同様に、費用もさまざまです。

本記事では、個人事業主、中小企業、大企業のそれぞれのケースにおけるデータベース構築の費用や費用を抑えるための具体的な方法についても紹介します。データベースの構築や運用に必要な知識を得ることで、自社の要望にあった効率的なシステムを設計し、コストの抑制を図りましょう。

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データベース構築にかかる費用

データベース構築にかかる費用

データベース構築の費用は、規模や内容など自社の要望によって大きく異なります。ここでは、各規模別にかかる費用とその背景について紹介します。

  • 個人事業主の場合:5万〜30万円
  • 中小企業の場合:30万〜300万円
  • 大企業の場合:500万円〜
  • 基幹システムの場合:3,000万円〜

個人事業主の場合

個人事業主の場合、データベース構築の費用は約5万~30万円です。

個人事業主の場合、データはローカルPCにExcelやスプレッドシートで管理していることも少なくありません。しかしMicrosoft Accessなどを用いたWebアプリケーションや小規模なデータ管理システムを構築すれば、費用を抑えてデータベースが構築できます。

中小企業の場合

中小企業の場合、データベース構築の費用は約30万~300万円です。

中規模の企業では、AccessやSQL Server上で開発を行い、NASやデータベースサーバーで情報を共有するような環境が増加します。複雑な業務要件やデータ量を扱うには、高度な機能やセキュリティ対策が必要です。構築費用を抑えるには、SQL Server の無料エディションであるSQL Server Expressを活用する方法も考えられます。

大企業の場合

大企業の場合は、データベース構築の費用が500万円以上となる場合が多くみられます。

MySQLやPostgreSQLなどでデータベースを構築し、Webサーバーやデータベースサーバーで管理するなど、大量のデータ処理や高度なセキュリティ機能、大規模なユーザーアクセス対応が必要なため、開発費用が高額になることが一般的です。プロジェクトが大規模になるに従い、専門のシステムエンジニアや開発チームの協力が不可欠です。

基幹システムの場合

基幹システムのデータベース構築には、最低でも3,000万円以上の費用がかかることが一般的です。

基幹システムは企業全体の業務プロセスを統合・管理するため、非常に高い信頼性とスケーラビリティが求められます。Oracle DatabaseやSQL Serverのようにライセンス費用がかかるデータベースを使用してAPサーバーやデータベースサーバーで管理するなど、大規模なシステムが必要です。

そのため、システム設計から開発、テスト、運用までの各フェーズで多大な時間と工数がかかります。SAPなどのERPパッケージや、外部の専門コンサルタントに委託することで、システムの最適化や運用効率の向上が図れます。

データベース構築に影響する要素

データベース構築に影響する要素

データベース構築の費用には、基本構成であるテーブルやカラム、レコードの数、リレーションの複雑さをはじめ、共有手段、セキュリティ対策など複数の要素が影響します。システム設計や機能要望に応じた適切なデータ管理方法を採用し、運用時間や開発コストを見積もり、効率的な構築と運用を目指します。Web対応や登録の対応も考慮に入れ、必要な機能を作成することが重要です。

テーブル・カラム・レコード・リレーションの数

これらの要素が増えるほどデータベースが膨大になるため、データベースの構築費用に大きな影響を与えます。

テーブル

テーブル(table)は、データベース内でデータを整理・管理するための基本単位です。各テーブルは、データを種類ごとに規則正しく格納するために用います。テーブルがあることで、データを項目ごとに集合体として扱えるのです。

しかし、テーブルの数が増えすぎると、データの整理や管理が複雑になり、構築費用も増加します。テーブルの設計には、データの種類や使用目的に応じて適切な構造を考慮することが重要です。

カラム

カラム(column)は、テーブル内のデータ項目を表すフィールドです。Excelで言うと、A、B、C、Dと横方向に並んでいる列の部分です。

レコード

レコード(record)は、テーブル内の1行を指します。Excelで言うと、1、2、3、4と縦方向に並んでいる行の部分で、ロウ(row:行)と呼ばれることもあります。

リレーション

リレーション(relation:関係)は、テーブル間の要素同士の関連性を定義する概念です。リレーションは、異なるテーブルのデータを結びつけて複雑なクエリやデータを操作できるようになります。

例えば、顧客テーブルと販売テーブルの間に顧客IDがあり、各々にリレーションを設定すると、顧客IDを基にしてどの顧客がどの商品を購入したかが追跡できます。

同様に、販売テーブルと在庫テーブルの商品IDのリレーションがある場合、商品IDを使用して販売された商品の詳細を管理できるため、販売履歴や在庫状況が正確に把握できます。

共有手段

データベースの共有手段は、システムの運用効率やセキュリティに影響を与える要素です。以下に共有手段の概要をまとめています。

  • スタンドアロン:基本的なソフトウェアのみ
  • 社内LAN:ネットワークインフラとサーバーの設定
  • Webベース:Webサーバーとアプリケーション開発
  • オンプレミス:ハードウェアとソフトウェアの購入、設定が必要
  • クラウド:既存のサービス利用であれば、開発不要でサブスクリプション費用のみ発生

例えばWebベースの共有システムの場合、利便性が高いもののアクセス制御やデータ暗号化が必要です。

また、オンプレミスの共有手段を選択する場合は、専用のサーバーやネットワークインフラの構築に多くの費用がかかります。

セキュリティ

データベースのセキュリティは、機密情報の保護に不可欠です。セキュリティ対策には、アクセス制御、データ暗号化、監査ログの管理、定期的なバックアップ、侵入検知システム(IDS)、およびセキュリティパッチの適用が含まれます。

これらの対策により、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑え、データの整合性と可用性を維持します。特に、機密性の高い情報を扱う場合には、強固なセキュリティ対策が求められます。

データベース構築の費用を抑える方法

データベース構築の費用を抑える方法

データベース構築の費用を抑えるには、自社でどこを重視して開発するのかの方向性を明らかにしておく必要があります。データベースは構築のあとに運用も必要となるため、初期費用は抑えられるほど良いと考えることもありますが、あまりにも安すぎる場合、必要な機能が盛り込まれておらずあとで作り直しが必要になるリスクもあります。

以下の項目を参考にして、自社に必要な機能を備えた効率的なデータベースの要素は何かについて検討してみましょう。

データベース構築の目的を明確にする

データベース構築の費用を抑えるためには、まずその目的を明確にすることが重要です。発注前に具体的なニーズと開発するシステムの目的を明確にして社内の関連メンバーの合意を取っておきましょう。方向性を一本化することで、費用や納期などの見積もりの精度が高まり開発途中のゆらぎも抑制できます。

データベース構築目的の例

  • 顧客管理の効率化:顧客情報の一元管理、購入履歴や問い合わせ履歴の追跡
  • 在庫管理の最適化:リアルタイムでの在庫状況の把握、自動発注システムの構築、販売データの分析
  • 財務管理:経費や収入の記録、財務レポートの自動生成

機能を最小限にスタートする

データベース構築の初期段階では、最初から完璧を目指すのではなく、必要最低限の機能からスタートすることが重要です。要件定義が正しく、想定どおりのデータベースが完成していても、実際に使ってみると使い勝手を改善したい要素やデータベースの利用方向性が変わる場合などがあります。

そのため、後から追加可能な機能については初期構築時点では導入せず、運用しながら必要に応じて追加するほうがデータベースの構築費用を抑えられます。段階的に開発を行うことで、無駄な開発コストが削減できるだけではなく、実際の使用状況に応じた柔軟なシステム構築にもつながります。

オフショア開発を利用する

オフショア開発とは、ベトナムやタイなど物価の安く、IT教育が盛んで技術力が高い海外の企業に開発を委託することです。海外の開発チームを利用することで、国内だけでデータベースを構築する場合よりも人件費や開発コストが抑えられます。

ただし、オフショア開発を成功させるためには「このくらい書いておけば分かってくれるだろう」という思い込みは厳禁です。仕様書を詳細に作成してコミュニケーションの確保に努めるなど、認識相違を防ぐための準備を十分行う必要があります。

補助金を活用する

データベース構築の費用を抑えるために、各種補助金を活用する方法があります。申請すれば必ず利用できるとは限らず、要件定義や書類の準備なども必要ですが、データベース構築費用を抑えるには、利用する余地があります。以下に代表的な補助金を紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者向けの補助金です。いくつかの募集類型がありますが、そのなかで通常枠は、自社の課題にあったITツールを導入し、業務効率化・売上アップをサポートする場合に受けられる補助金です。

  • 募集類型:通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠
  • 補助対象:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ、導入コンサルティングなど
  • 補助率:1/2以内
  • 補助額:1プロセス以上は5万円以上150万円未満、4プロセス以上は150万円以上450万円以下

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上を目的とした補助金で、年に数回テーマごとに公募される補助金です。業務効率化や新技術の導入を目指してデータベースを構築する場合に申請可能です。

  • 募集類型:(17期)省力化(オーダーメイド)枠/(18期)省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠
  • 補助対象:機械設置システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費など
  • 補助率:中小企業は1/2または1/3、小規模企業者・小規模事業者(再生事業者)は2/3または1/3
  • 補助額:100万円~8,000万円

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編を目指す企業を支援する補助金です。データベースを構築して新たなビジネスモデルを構築するなど市場拡大要件を満たし付加価値が上がる場合などに申請可能です。

  • 募集類型:成長分野進出枠(通常類型)、成長分野進出枠(GX進出類型)、コロナ回復加速化枠(通常類型)など
  • 補助対象:建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費など ※ 成長分野進出枠(通常類型)の場合
  • 補助率:中小企業は1/2または2/3、中堅企業は1/3または1/2
  • 補助額:1,500万円~7,000万円

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓や業務効率化などの経営計画を支援する補助金です。経営改善や業務効率化を目的としてデータベースを構築する場合に活用できます。

  • 募集類型:通常枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠
  • 補助対象:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費
  • 補助率:2/3または3/4
  • 補助額:50万円~200万円

データベースを構築するメリット

データベースを構築するメリット

データベース構築には、情報管理の効率化、安全性の向上、データ分析の容易さなど、多くのメリットがあります。以下に具体的なメリットを説明します。

情報を管理しやすくなる

データベースを構築することで、情報管理が一元化されます。

特に、大量のデータを扱う場合には、データベースの導入は不可欠です。Excelやスプレッドシートだけで比べて検索や更新が容易になります。情報を表示するための待ち時間が減ることひとつをとっても、業務効率の向上が期待できるでしょう。

また、検索性の向上により情報の重複や誤りを防ぐことができます。そしてリアルタイムで最新の情報が利用できれば企業の生産性の向上や業務運用の効率化が期待できます。

安全性が向上する

データベースは、アクセス制御やデータ暗号化などのセキュリティ機能を備えているため、情報の安全性が向上します。これにより、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを低減することができます。

また、定期的なバックアップや監査ログの管理により、データの保全とトレーサビリティが確保可能です。特に機密情報を扱う企業の場合、データの一元管理、アクセス制御、監査ログ、定期的なバックアップを通じて、個人情報保護や金融取引の記録保持など法規制に対応したデータ保存や管理が容易になります。

データ分析がしやすくなる

データベースには、データ集計、フィルタリング、クエリ実行、データマイニング、レポート作成などの機能を盛り込むことができるため、大量のデータを効率的に分析することが可能になります。データの集計やフィルタリングが容易になり、ビジネスインテリジェンスやデータドリブンな意思決定を支援します。マーケティング戦略の最適化や業務改善、見積もりの迅速化などにも役立ちます。

まとめ

データベースの構築により、情報管理の効率化やセキュリティ向上など、多くのメリットがあります。データベース構築にはさまざまな費用がかかりますが、目的を明確にし、機能を最小限にスタートするなどの方法でコストが抑えられます。

また、IT導入補助金やものづくり補助金などの活用もおすすめです。

もし自社だけでの開発に課題を感じている場合には、お客様のデータ活用状況や分析目的にあわせ最適な情報や技術が提供できるエッジワークの専門プロ人材の活用をご検討ください。

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