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公開日:2024/03/08

業務委託と派遣の違いとは?それぞれのメリット・デメリットも解説

業務委託と派遣の違いとは?それぞれのメリット・デメリットも解説

できるだけコストを抑えて、自社のニーズにマッチした人材を確保したい場合は、アウトソーシングを活用することでコストの削減や生産性の向上が可能になります。

本記事では、業務委託と派遣の違いやそれぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

業務委託と派遣の違い

業務委託と派遣の決定的な違いは、指揮命令の有無と支払いの対象、及びその目的です。

業務委託の場合、発注者が労働者に対して業務の進め方や働き方に指示を出すことができません。報酬は作業時間もしくは成果物に対して支払い、主に「業務の完成」が目的です。

それに対して派遣では、派遣先企業が労働者に対して指揮命令することが可能となります。報酬は作業時間に対してのみ支払い、主に「人材の確保」が目的となる点が違います。

業務委託と派遣の違い

業務委託とは

業務委託とは、発注者と労働者が雇用関係を結ばずに、特定の業務を組織外部に依頼して業務を遂行してもらう契約です。

業務委託契約では発注者から労働者に対して業務管理や指揮命令をすることができません。「業務委託」とは法律で定められた契約ではなく通称であり、主に次の3種類に分けられます。

請負契約

請負契約とは、労働者が業務の完成を約束し、発注者は契約期日までに完成した成果物に対して報酬を支払います。

デザイン・コンテンツ制作や建設工事など完成品があるものと、警備や清掃などのようなサービスを提供するものがあります。

委任契約

委任契約とは、税理士や弁護士などの士業による「法律行為」の遂行を委託する契約です。

請負契約との違いは、委任契約には業務を完成させる義務がなく、あくまで契約内に委託された業務を遂行するという点です。

例えばどれだけの労務を提供したとしてもデザインが完成しなければ報酬が発生しない請負契約に対して、弁護士が敗訴しても訴訟という法律行為の提供に対しては一定の報酬が発生します。

準委任契約

準委任契約とは「法律行為ではない業務」の遂行を委託する契約をいいます。

委任契約との違いは法律行為にあたるかどうかのみで、完成に責任がなく業務の遂行自体が目的となる点においては同じです。

例えば医師に診療を求める行為や、コンサルタントのサービスを受ける契約などが準委任契約にあたります。

派遣とは

派遣とは、派遣会社と雇用契約を結んだ派遣スタッフが、派遣先の企業で就業する契約のことです。

雇用主は派遣元となる派遣会社になるため、給与の支払い・社会保険の負担・福利厚生などは派遣会社が行います。次に挙げた派遣の種類をチェックしておきましょう。

派遣とは

一般派遣

一般派遣とは、派遣会社に登録した派遣スタッフが、紹介された企業で一定期間だけ就業する契約です。

あらかじめ定められた契約期間中だけ労働契約を結ぶため、契約期間の終了とともに労働契約も終了となります。

また派遣期間には制限があり、同じ事業所の同じ部署で就業できるのは最長3年までです。

特定派遣

特定派遣とは、派遣スタッフが派遣元との間に常時雇用契約を結び、案件ごとに派遣されて就業する契約を指します。

特定派遣にはソフトウェア開発や広告デザインなどが当てはまり、指定された専門職においては雇用期間が3年を過ぎても派遣労働者として働くことができました。

しかし、労働者派遣法の改正が行われ、特定派遣は経過措置期間の2018年9月29日をもって完全に廃止されています。

特定派遣が廃止された背景には、安定雇用を期待した制度だったにもかかわらず常時雇用のルールを守らないケースや、届け出を出すだけで受理されたため資金力の乏しい派遣会社の参入があったためといわれています。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、将来的に派遣先の企業で直接雇用されることを前提に結ぶ契約です。

雇用契約期間中に企業側も派遣スタッフ側も双方で検討し、お互いの合意が得られた場合は正社員として働けるため、試用期間としての役割を果たせます。紹介予定派遣は雇用前に明示する必要があり、最長の派遣期間は6ヶ月です。

一般派遣では契約前の面接が禁止されていますが、紹介予定派遣の場合は事前に書類選考や面接が可能です。

業務委託のメリット・デメリット

人材不足の解消や経営の効率化に向けて業務委託を検討しているものの、業務委託契約の詳細や注意すべき点を知らないという方も少なくありません。

効果的に業務委託を活用するために業務委託契約のメリットとデメリットについて確認しておきましょう。

業務委託のメリット・デメリット

メリット

業務委託のメリットは、主に「業務管理や教育のコストがかからない」「特定のプロジェクトに専門性の高い人材を確保できる」「専門的な知見を持った人材を期間の制限なく活用できる」の3点です。

人材育成のコストがかからない

業務委託のメリットは、人材育成のコストがかからないという点です。社内で人材を育成するとなると、スキルや知識を身に付けるまでに時間がかかり、育成期間中もコストが発生します。

しかし、外部のプロに委託すれば、細かい指示をしなくても高い水準で業務を遂行してもらえたり、成果物を完成してもらえたりするメリットがあります。

さらに自社の社員は経営戦略や営業などコア業務に集中できるので、企業の生産性やクオリティの向上につながります。

プロジェクトに適した専門性の高い人材をアサインできる

業務委託なら、必要な期間や特定のプロジェクトに適した専門性の高い人材をアサインできるメリットがあります。デザイナーやシステムエンジニアなど高度な専門性を必要とする人材を常時雇用するにはコストがかかり現実的ではありません。

ところが、業務委託を活用すれば業務期間を短縮させながら必要に応じて専門性に特化した適切な人材を確保することができます。社内リソースではまかなえない業務も効率的に遂行してもらえるのが業務委託契約のメリットです。

社外の知見を活用できる

業務委託は、社外の専門的な知見を活用できる点もメリットです。専門的なノウハウや最新の知識を備えた人材に業務を委託することで、自社で業務を遂行するよりも業務の正確性や処理速度が高まります。

また、人材を確保できる期間に限りのある派遣とは違い、契約期間に制限がありません。

そのため、相手の合意があれば長期的な契約を通じて、社外の知見を活用し続けることができます。

デメリット

業務委託では、労働者や受託者に対して直接指揮命令ができないことでデメリットになるケースがあります。業務委託におけるデメリットを十分に理解して、トラブルを未然に防ぎましょう。

業務委託先の選定が重要

業務委託を行う場合は、業務委託先の選定が重要になります。

選定を見誤れば、品質レベルが目標値に未達、納期の遅れ、情報漏洩など違法行為等のトラブルをまねくので、正しい業務委託先を判定する必要があるでしょう。トラブルが発生するケースは委託先の経営や管理体制に起因することが多いので見極めが必要です。

また、発注する側と受託者で十分な協議を行い双方が合意した内容を明示したり、日頃からコミュニケーションを取ったりするなど、発注者にも配慮が求められます。

偽装請負の注意が必要

偽装請負とは、形式上は業務委託契約であるにもかかわらず、実態は労働者を委託者の管理体制や指揮命令下に置いて業務に従事させる行為です。

本来の業務委託契約では指揮命令権を持たないため、実態が発覚すると偽装請負とみなされる可能性があります。

厚生労働省のガイドラインによると、偽装請負と判断された場合には、労働者派遣法・労働基準法・職業安定法のいずれか又は複数に基づいて罰則が科され、懲役や罰金のほかに、業務改善命令や企業名の公表対象となります。

派遣のメリット・デメリット

派遣で人材を確保した場合はどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。派遣と業務委託のメリット・デメリットを比較することで、自社のニーズに合った人材に業務を遂行してもらうことができ、経営の効率化が図れます。

メリット

派遣のメリットには、主に「労務管理に関する負荷やコストを軽減できる」「採用にかかるコストの削減」「一時的な人材不足の解消」の3点が挙げられます。

労務管理の負荷を軽減できる

派遣のメリットは、労務管理の負荷を軽減できる点です。

派遣スタッフはあくまで派遣会社と雇用関係を結んでいるので、賃金の支払い・年次有給休暇の付与・確定申告の事務手続き・社会保険の加入手続き・健康診断の実施・災害補償などの労務管理はすべて派遣元が行います。

とはいえ、派遣の場合は派遣先の企業に指示命令権があるため、労働時間、休憩、休日などの日常業務は派遣先の企業で管理できるのもメリットといえるでしょう。

採用コストを削減できる

派遣では、要望する適切な人材を派遣会社が提案してくれるため、採用コストを削減できるメリットがあります。

自社で採用を行う場合、求人広告を出す手間やコストがかかり、募集しても求めている人材の応募がなかったり、なかなか採用できない場合は社員の負担が大きくなったり、採用した社員が定着しないなどの懸念事項があります。

その点で派遣の場合は自社が人材の管理をしなくてもよいため、上記のケースのようなリスクを抑えて採用コストを削減できます。

一時的な業務に向いている

派遣のメリットは、期間や業務内容などに応じて人材を確保できるため、一時的な業務に向いています。期間限定のプロジェクトや繁忙期の対応、社員の育児休業に合わせた欠員補充など、柔軟な人員追加が可能です。

また派遣の場合は業務量に応じた就業期間や就業時間を定めることができるため、人件費の変動費化が可能になり、売上高に合わせたコストコントロールができます。

デメリット

派遣には、派遣できる期間の制限や派遣禁止業務が存在します。知らずに法に触れてしまう可能性があるので、ここでは派遣のデメリットをしっかり理解しておきましょう。

業務委託と比較すると育成コストが多く発生する

派遣のデメリットは、業務委託と比較すると育成コストが多くかかる点です。

派遣は直接雇用ではないため、採用時に業務に沿った人材のリクエストはできるものの、派遣スタッフの選考や派遣スタッフを特定する行為はできません。

そのため、求める業務レベルに達するまで育成する必要があるでしょう。

また、派遣の場合は原則として最長3年までの受け入れ期間制限があります。同一業務に継続して就業させるには直接雇用契約を結ぶか、新たな人材を探す必要があり、長期的にみると育成コストが多く発生します。

派遣禁止業務が存在する

派遣の場合、労働者派遣法第4条と労働者派遣法施行令第2条に定められた通り、対応できない派遣禁止業務が存在します。

具体的には港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関連業務、士業(弁護士、税理士、司法書士など)です。

派遣スタッフを派遣禁止業務に従事させた場合は、その時点で「労働契約申込みみなし制度」が成立します。派遣先から派遣スタッフに労働契約を申し込んだとみなされ、直接雇用する必要が出てくるので注意しましょう。

まとめ

業務委託と派遣の明確な違いやメリット・デメリット、違法となるケースを正しく理解することで、自社のニーズにどちらが対応しているのかを判断し、適切な人材を確保することができます。

さまざまなプロの人材が揃うエッジワークなら、稼働する期間を限定して専門性の高い分野を業務委託することが可能です。

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